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2011年9月15日木曜日

人気記事

別ブログの記事でありますが、今年の前半にアクセス数の多かったものwご紹介。

まずは、

(知財専門家が教えない)特許のホントの話


米国の個人発明家が特許出願の経験を通して学んだことを書籍にまとめたものを紹介しました。大企業からの継続的な仕事の依頼をよしとしている人には、ご自身の仕事感覚を客観的に見直すには、とてもよい書籍だと思い、紹介いたしました。また、近年、なにかと知財コンサルを標榜する人が増えたことにも関連して、個人発明家の視点を知ることは、サービス提供において非常に有益と思いました。


知財より大切なものがある


私は、アンチ知財というわけではありませんが、この業界にいると、
「刷り込みされているな~」
と感じられずにはいられない人をよく見かけます。

あのHarvard Business Reviewが、構造化されたナレッジであるIPの重要性を認識しつつも、その流動性故の流出や訴訟コストの観点から、IPよりももっと大切なディープ・ナレッジがあることを説いた記事を紹介しました。

知財コンサルを標榜する人には、備えていてほしい考え方です。


人の間の対立構造

意思決定が行われる際には、人の考え方、価値観、好み、気質等の要素が大きく影響している。いい意味でも、悪い意味でも、意思決定にはバイアスがかかるものだ。そして意思決定の過程において人同士の対立が生じることは、多くの方が経験することであろう。人は同じ物を見ていてもその異なった側面に注目したり、異なったフレームワークを用いてその物を把握するからだ。互いに相容れないものの見方をしているとき、人は互いにそれを「固定観念」と呼ぶ。このような問題を「人の多様性」と「柔軟性の欠如」と括ってしまえば話は簡単であるが、人同士の対立構造をもっとわかりやすく説明する概念はないのであろうか? 

世の中で人を分類するのによく使われる指標として、

「ゼネラリスト v.s. スペシャリスト」

というものがある。

専門性の有無(又は多少)という座標軸をもとに人材間に対立構造をとらせてみると、日本企業においてはゼネラリストとスペシャリストとの間には、多くの場合に
権限の有無という、もう一つの対立構造と重なる場合が多いのではなかろうか? 日本企業では一般にゼネラリストがCommand&Control型のトップ・ダウン的な意思決定プロセスの上位の人材となっている場合が多く見受けられる。(実質的に日本ではボトムアップという見方もできるが、組織の形態上は階層性という点においてトップダウンとみなせるであろう。)

そしてもう一方のスペシャリスト達はゼネラリスト達に束ねられる、特定分野の業務をこなす人材であろう。組織の階層性というフレームワークで見た場合、スペシャリスト達はその中に取り込まれているが、本来、彼らはFreedom & Responsibility型の仕事を好み、Peer Review(同業者らからの評価)をむしろ好む傾向にある。特定機能に特化した業務は、外部において独立した組織として存在することがその証左であろう。

Command&Control型のゼネラリスト達は、強制的又は半強制的に他人へ仕事を委託する。少なくともそいうった性質を多く備えていると私は考えている。権限についての階層性の存在する会社内で上司が部下に仕事を委任するのは、いわば職務上の強制的な受け渡しである点には異論はなかろう。一方、自分の監督下にない他部門への委任は、職務上の半強制的な委任であろう。自己の部門と委任先の部門とを束ねる上司を経由して受け渡しが行われる。

このような立場におかれるゼネラリストは、人や部門同士の調整(根回し等)を図ることがその者の重要な任務といえる。

一方、Freedom&Responsibility型であるスペシャリスト達は、自分の専門領域において自らが目標を達成することは、本来、他人に律せられるのではなく、自律的に臨むものである。もし、そのような目標達成ができないようであれば自身の存在意義にかかわり、また目標達成できないことを恥と考えるであろう。ここには、(自分の専門分野に関して)他人に委任することで責任を回避するという行動は本質的にはなじみにくい。そして自分の専門分野においては、どのような対象について、どのような行動を起こすころで仕事を遂行していくのか、即ちワークフローを意識して自律的に行動することが重要な任務であろう。

このように人材を対比させて整理してみると、ゼネラリスト達が行う委任という行為は、「主体(人)」同士の結びつきに関わるものであり、各主体がどのようなプロセスで行うかよりも、どのような結果がもたらせるか(どのような「状態」にしてもらえるのか)を、より重要視している。プロセスを気にするのであれば、自らの管理下で自己責任のもとに行うほうが管理がしやすいからだ。一方、スペシャリスト達は、より客観的に捉えられる「対象物」や「アクション」を重要視するであろう。

このような観点からは、私は人材を次のように分類できるると考えている。

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Subject(主体)指向 v.s. Object(対象物)指向
又は
State(状態)指向 v.s. Action(行動)指向
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もちろん、全ての人が、二つの分類のどちらかだけに属するということではない。スペシャリスト的な人材が、自分の専門分野以外の事柄でゼネラリスト的に他人に委任するということは、よくある話であるし、ゼネラリスト的人材が、仕事以外の趣味の面などでスペシャリストであることなども十分にありえる。あくまでも、このような視点・フレームワークで見ると、意思決定における行動様式の特徴がよくわかるのではないかという提言である。