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2013年5月16日木曜日

知財コンサルを格付けする!

個人的な興味や重要性が、知財から離れてデザイン思考に移ってきているのですが、

久しぶりに「知財コンサル」という切り口で少し考えてみました。



この業界は、特許事務所と知財関連業者の集合体から構成されていると思われますが、

GoogleでHPを検索した内容からは、裾野が広がった分、

レベルの高さには悪影響を与えてしまってきているな、という印象があります。

つまり、ありきたりの内容をカバーするのに、MOTで学んだ知識で着飾っている感じ

とでもいいましょうか、、、



この業界に参入したものの、収益化できない事業体が撤退していけば、

レベルが改善する可能性は、もちろんありますが、

そもそも、マーケットを的確に作り出しえていないという捉え方も可能ではないかと思います。



私が想定している知的財産・知的資産の経営コンサルティングとは、

従来からある、

------------------------
R&D成果----->特許出願
      ↑出願サービス
       におけるコンサル
------------------------
という捉え方ではなく


----------------------------------------------------------

アイデア----->ビジネスモデル/ビジネス戦略----->ビジネス

における、二つの矢印部分にどう対応するか? のサポート
----------------------------------------------------------


ということです。

つまり、コンサルの覆面をかぶった、専権業務の顧客拡大手段ではありません。



このような捉え方をもって業界のHPの内容を検討してみると、

知財コンサル業者は、だいたい次の3つのレベル分類されます。


レベル3(最低レベル)

「製品・サービスを差別化」とか、「知的財産権を活用した経営」というタイトルに、

その内容がもっともよく表れているサービスです。

製品やサービスを意識はしていますが、

大企業から流れ作業的に継続的に出願の仕事がやってくることがない中小の事務所が行う、

中小~中堅企業相手の出願代行サービスに過ぎません。

知財活動が実際に製品・サービスに結び付くかどうかは、依頼者側の体制しだいであり、

おそらくは出願完了した時点で実質的なサービスは終了です。

そのため、基本的には特許業界が行う、顧客層拡大キャンペーンのようなものです。



レベル2(直線型)

「効率的に知的財産を創造して、権利化していき、それを上手に活用する」

と掲げているところからは、レベル3よりも、「創造」部分に特徴があるものと推測されます。

しかし、「面」としてのビジネスを捉えきれていません。

知財という権利に特化しているといえば聞こえは良いかもしれませんが、

ビジネスのその他の面に目をつむっているに過ぎません。


ビジネスがうまくいきつつある企業が、知財部門の体制を整えたりするのには、

ある程度の効果はあると思われますが、レベル3のコンサルと同様に、

「知財をうまく構築していけばビジネスは自ずととうまくいく!」

と信じ切っているのでしょう。


手段が目的化している知財業界に長いこと居座ると、

どうしてもこのレベルのところに落ち着いてしまいます。

ビジネスがうまくいっている企業は、知財をうまく活用していることが多いかもしれませんが、

知財をうまく活用したからといって、ビジネスをうまく創出できるとは限りません。



このぬかるんだ泥沼から抜け出すには、

知財業界以外でのビジネスの経験が絶対に必要です。



レベル"1.99" 

レベル3⇒レベル2ときたから、次はレベル1だろうと思いでしょうか?

レベル2よりは上ですが、レベル1にまでは遠く及ばないということで、

レベルは、1.99です。

(レベル1>>>レベル1.99≒レベル2)

このレベルに属する事業体のHPには、

「多くの中小企業経営者は、知財の重要性に気付いていません。」

「自社に価値ある知的資産があることすら気付いていない経営者も多い。」

のような表現が見受けられますが、

言っている内容は、レベル3やレベル2のコンサルと同じです。



「企業経営者には、「知財ありきのアプローチ」では受け入れられず、

「経営からのアプローチ」が必須です。」


この部分には、基本的に賛同します。ですが、次のような記載には疑問を感じます。

「中小企業経営者を圧倒する知識体系を持つことが、

自信を持って対等に経営者と会話し、また信頼を勝ち得る第一歩になります。」


これはコンサルを行う側が仕事を受注するのに良い影響を与えるものは何かということであって、

顧客側がコンサルのサービスを受けて、ビジネスがうまく創出されることとは

本質的に関係がないことです。


生半可な知財戦略の知識さえあれば、ビジネスがみんなうまくいくのであれば、

コンサルなど行っていないで、自らビジネスをしたらよいではないでしょうか?




ビジネスを成功裏に収めるためには、

コンサルを受ける企業側が、的確に意思決定を行う必要があるわけで、

コンサルティングというよりも、むしろ、

カウンセリングといったほうが適切であると私は考えています。


(現実に「カウンセリング」で活動しようとすると

うまくいかないという点については、後日、改めて書こうと思います。)



結局どうすればいいのだ?


と思われるかもしれませんが、

本来、紋切り型のサービスでは、先が見えているというのが、

「知財コンサル」と呼ぼうとしているビジネスの本質的内容であると私は思います。

そしてこの質問に自ら答えを出せなければ、

知財「経営」などというのは、おかしいのではないかと思います。

2013年5月8日水曜日

デザイン思考における人間中心アプローチ

デザイン思考における重要且つ基本的な考え方に、

「人間中心」というものがあります。 参考


この人間中心という概念を短絡的に理解しようとすると、


「マーケティング調査を行い、市場のユーザからの意見聴取を行う」


といった行動をイメージすると思われます。


これに対して、かつてスティーブ・ジョブスのいたAppleの製品開発では、

市場調査は行われていなかったようです


表面的には、これらの二つの考え方は正反対のようにも思えます。


しかし、製品やサービスをデザインする初期段階で行っていることは、

次のような事柄のはずです。


1.ユーザが自覚していないので、当然、表出させてこないニーズを探ること

2.ユーザの意見と、実際の行動は必ずしも一致しないので、ユーザの想いや行動の深層を探ること

3.キライなものについては明確に述べることができるが、スキ!なことについては、明確に述べることは案外難しいので、それを探ること

4.必要であることと、欲しいということの区別も案外難しいので、注意すること


これらをひとまとめにすると、

「視点の適用の仕方を意識する」

というように理解することができます。

誰のどのような視点であるのかを意識し、

それを表出化することが、人間中心アプローチの核心なのです。