イノベーションの方法論を端的に述べたものとしては、
よく言われる、
Think outside the Box!
というものがある。
「既存の考え、枠組みにとらわれずに考えろ」
ということだ。
しかし、これではあまりにも具体性に欠ける。
何をやってもよいということになり、次の一歩を踏み出せない。
かといって、
事細かに手順まで記載した方法論の解説では、全体像が見えず、
小手先感が大きくなってしまうのも事実であろう。
私が考える、一般性、具体性の双方をもったイノベーション方法論の概略は、
次のようなものだ。
把握⇒理解⇒活動のモデル化⇒モデルの評価
↑_______________↓
「把握」は、技術者にとって盲点となりやすい領域だ。
自らの視点のみに固執して、ユーザーの視点に欠けることが多い。
「理解」は、深入りしすぎると全体を見渡せなくなり、
手段が目的化しやすい領域だ。あくまでも、次のステップ行くための準備段階である。
この二つの領域においては、技術者はマインドセットを変えていく必要がある。
次の「活動のモデル化」は、把握・理解した対象から、
どのような活動を行うかを創造していく領域だ。
モデル自体には論理性を備えつつも、モデルを発想する行為は、creativeなアクションであり、
演繹法、帰納法といった論理的方法ではなく、アブダクションが有効である。
最後の「モデルの評価」は、いわば全体最適化である。
これら4つのステップ(フェーズ)を反復することで漸進的に行っていくのが
イノベーションのシンプル・モデルだ。