先日、研究所の研究者を対象としたセミナーの講師をしてきました。
目的は二つ。
一つ目は研究者に、今後の研究成果の事業化の方向性を考えるきっかけとなる内容とすること、
そしてもうひとつは、研究者が事業化に積極的に関与するよう、意識改革を行うこと、
でした。
「一つ目」については、知財の手続の経験が浅い研究者の方々に
知財を見る際の有益なフレームワークを提示するのみにとどめました。
セミナー後、先方の担当者より、具体的な方法について
興味を示してきた研究者がいたとの報告を受け、
まずまずの成果だったのではないかと思いました。
とかく知財セミナーという場合、研究者に知識の詰め込みをしてしまうことが多いですが、
それでは本末転倒だと、私は考えています。
何のための知財部なのか、なんのための外部の特許事務所なのかを
よくわかっていない人が自分の知っている知識を参加者に埋め込むセミナーは、
自分の仕事(知財部、特許事務所)を楽にするだけでしかありません。
研究者が、負担を感じることなく、知財へ関与できるようなモノの見方を与えることが、
とても重要であると私は考えているからです。
二つ目の目的については、自分がこれまで開発してきた事業化の方法論の概略を
視覚的に提示することで、研究者の意識にかなりの影響を与えることができたと思います。
これまで(10年以上にわたる期間)の成果を凝縮した内容でしたが、
セミナー後、的確な質問も受け、受講者の深層心理になんらかの影響を与えることができた
のではないかと思っています。
セミナー中、研究者を対象に
「デザイン思考」という方法論を知っているか質問してみたのですが、
知っている人は0人という結果。
やはり、研究に携わる人というのは、
自分の専門外のことについては、興味を示して学習するということが、
まだまだ不足しているのだろうなとおもいました。