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2012年1月18日水曜日

TRIZとUSIT

発明的問題解決手法としてのTRIZを知っている人は、

TRIZをツールとして使えるかどうかは別として結構多いと思います。

しかし、ロシアで開発されたTRIZがイスラエルでSITに派生し、これからできたUSITについては、

その内容を実践している人は多くないのが実情だと思います。

インターネットでの検索では、日本での積極的Userは、

このあたりだと思いますが、思ったほど広がりがないように感じます。


理由としては、TRIZはその複雑性、専門性ゆえに、

習得した後にコンサルティングを行う人材となりえるのに対して、

USITは一般性が高く、問題を単純化して考えることを特徴としているので、

逆に、習得していることが専門性として、

日本では高く評価されにくいという背景があるのではないでしょうか?



私の場合、TRIZに興味をもったものの、その複雑性ゆえに、

何か他によい方法がないものかと探していたのですが、

大学の先生の勧めで、USITを利用、研究するようになりました。

その結果、単一技術の定性評価手法、新規事業開発補助、

意思決定補助などの有効活用に至っています。

それと、特許の実務では、発明の特定・把握にも大きく役立ち、

更に各国の実務を包括的に理解する助けにもなっています。


特許の実務を勉強しようとする方は、まずは日本での実務を勉強し、

その基礎をもとに、外国の実務の勉強をするといった、ボトム・アップ的な

努力をされる方が大半です。

しかし、メタ知識ともいえるUSITの概略を知るだけでも、

トップ・ダウン的に物事の理解ができるようになるのです。



日頃、技術者や、弁理士などの専門家と接する機会が多いのですが、

専門家を専門家たらしめる専門知識は、いわば「バカの壁」です。

そのような人たちの知識を最大限生かしていくには、知識を取り扱う知識、

すなわちメタ知識の習得が非常に重要かつ有効です。


そういった観点から、USITをとらえてみることを、私は強くお勧めします。

2012年1月11日水曜日

2011年IP統計にみる中国の躍進

WIPO発行の2011年版IP統計(2011 World Intellectual Property Indicators)がこちらよりダウンロード可能です。




主だった点としては、


・2009年と比較して2010年は、特許出願は世界的に増加傾向にある。


・中国、日本、韓国によるPCT出願の増加が顕著である。


・中国は(内国人による)出願数で世界第1位となったものの、外国出願がまだ少なく、外国出願数の世界第1位は米国である。


・世界で権利が存続している特許件数は、約730万件(USが200万、日本が140万等)。


・中国、日本、韓国での審査期間は減少傾向。


・商標登録出願数は、2000年以降で過去最大を記録。


・商標登録出願数の最多国はドイツ。


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Highlights部分だけでも読んでみて、皆さんも今後の出願数の変遷と自身の環境へ与える影響を考えてみてはいかがでしょうか?



私は世界の経済状況からして、2011年以降の出願数は、先進国については今後もそれほどは増えないと予想していますが、中国に関しては、まだ伸びしろがあると思います。

中国での特許出願数は、最新の情報によれば、163万件(発明特許出願:約53万件、実用新案登録出願:約59万件、デザイン特許出願:約52万件)となっていおり、全体として約34%の増加、発明特許の出願数としても約35%の増加となっています。また、PCT国際出願数も約35%の増加となっています。

中国におけるこのような増加は、中国が世界経済の製造工場としての役目を担っているということのみならず、中国政府の方針が大きく影響しているからです。

中国では、2006年に策定された中長期の科学技術開発プログラムにおいて、イノベーションを最重要項目に挙げており、2007年には国家レベルでの知財戦略が策定されています。また、2008年にはイノベーションのみならず、IP分野においても5年以内に大幅な改善を目指し、出願や権利保護を改善することを目標に掲げています。

中国では国家特許開発戦略(2011-2020)という10年計画が策定されていますが、ここでは年間200万件の出願(特許のみならず実用新案や意匠をも含む)を2015年までに達成することが目標に掲げられています。2011年末での出願総数が上記のごとく163万件であることから、その達成は時間の問題と考えられます。年率10%での増加率でも、あと3年で200万件に達する勢いです。

中国起源の出願は、このような理由から今後も増加すると予想されますが、問題は中国の出願が量から質へいつ頃転換するのかということでないでしょうか? 中国企業による外国企業の買収や外国企業とのライセンシング、特許の取引が増加すれば、量における増加はあと数年程度かもしれません。

一方で、単に出願数が増加するのみでは、特許の藪(Patent Thickets)が構築され、訴訟が起こった場合に事態を複雑化するだけであり、ライセンシングを意識した、ビジネスにとって意味ある出願のみを行うことを重視することに方向転換するのであれば、出願数の伸びは鈍化すると思われます。

多様な人材を引き付け、起業家をサポートするシステムが整っている米国は依然としてInnovationの先進国ですが、今後、中国がInnovationのためにいかなる政策を打ち出していくのか(中国の特許件数増大計画も、最終的にはInnovationの推進を目標に掲げています)は、世界経済における日本の位置付けに大きな影響を与えることと思います。


参考記事:





2012年1月5日木曜日

英語による有益なIP関連情報の入手先

特許業界では英語が達者な人というのは、どうも少数派のようだが、

日本企業を相手にしている場合でも、海外の知財情報にある程度の見識を持つことは大切だと思います。

どれを選べばよいのかわからないという方も多いかと思います。

最終的に、自分で有益かどうかを判断する必要がありますが、

このようなリストから選択してみるのもよいでしょう。

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