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2015年3月25日水曜日

ビジネス開発に必要な技術者の行動様式とは?

技術者の通常の行動様式は、問題解決型であるといえるでしょう。

この行動様式は、分析や論理を基本としています。

つまり、帰納的な方法論や演繹的な方法論を使って、

より確実な、信頼性のある結果を得ることを特徴としています。

たとえば帰納的な方法において技術者は、

Aという現象が見られた場合に、

「BならばAが生じる」

という規則におけるBを見出すことを行います。

そのため、「BならばAが生じる」という論理的な枠組みの中で活動を行うことになるのです。

このような行動様式をとる場合、自ずと既存の枠組みの中での活動に集中するため、

部分最適化的な結果となりやすい傾向があります。

問題・現象が所与であり、自ら作り出すものではないことが大きく影響しているからです。


これに対してビジネス開発では、問題の定義の仕方も事象の捉え方も様々です。

問題については自ら定義することも可能なのです。

そのため、問題解決の際に有効であるはずのアルゴリズムのみでは、事に対処できないのです。

物事の捉え方や、行動の起こし方に関しては、発想が重要となるのです。

行動様式としては、デザイン型のものが要求されるのです。

技術者がビジネスに関わる際には、デザイナーのとる行動様式を身につける必要があるのです。

直観にたよる部分が増えるわけです。

恣意的な仮説を数多く作り出す必要があります。

このような行動様式をとる場合、多くの技術者は、行っていることに憤慨したり、

自己嫌悪に陥ったり、みずから責任を放棄する行動をとってしまいがちです。



しかし、問題解決型とデザイン型とを対比することで、

技術者は行動様式を自らポジショニングすることが可能になり、

ビジネスの創出に適切に対応することができるようになるものです。

企業のCTOや、事業責任者の方々は、人材開発において、このようなことを意識して

技術者の教育、啓蒙を行っていくことが今後は重要となっていくでしょう。






2015年3月13日金曜日

技術者のアタマの硬さと、デザイン思考の柔らかさ

技術者の存在意義はどこにあると皆さんはお考えでしょうか?

次の2点は多くの人が捉えている内容であろうと私は思います。

1.客観性論理性をもって事に対処する

2.専門性に支持された確固たる知識を持っている


このような捉え方をした場合、その裏には次のような考え方が潜んでいるはずです。

「技術者にとって問題解決の際に邪魔をするのは、主観 だ」


言い換えると、主観を排除することで客観が得られる、と考えている人が多いのではないでしょうか


このような考え方を持った人たち(技術者やその周囲の人たち)がプロジェクトを行おうとした場合、

次のような事態に陥ることが多いものです。

A.有識者の見解を知ることは重要だ(専門知識を活用しよう)

B.専門家に依頼してみよう

C.専門家が専門家の視点で検討したことならば確実だ

D.専門家のアドバイスに従ったのだから、間違いはないはずだ

E.専門家を活用することも、彼らの検討結果を利用することも、すでに意思決定したことであり、いまさら否定はできない

A~Cの流れは、良く言えば「委託」ですが、悪く言うと「丸投げ」です。

そしてC~Eの流れは、独自基準での評価を行わない怠慢と、前例主義の弊害です。



これに対してデザイン思考の源流にあるソフトシステムズ論(SSM)では、

A~Cに関して、Dynamicな視点、Softな視点で、

状況についてのRich Pictureを得ることを、その第一段階にしています。

この第一段階では、主観を排除していません。

つまり、専門知識に依存することはしていないのです。


技術者の持つ専門性は、効率よく、且つ、確実な結果をもたらすための必須の要素ですが、

プロジェクトの早い段階で主観を排除してしまうという問題があるのです。

つまり、様々な可能性というものを早い段階で排除してしまう恐れがあるのです。


技術者の皆さんは、自社、自分のプロジェクトの製品やサービスの「ユーザー観察」を行ったことがあるでしょうか?

ユーザー観察の対象はユーザーであって、制作側の皆さんの考えとは必ずしも一致しない考えや行動様式をもっているものです。

技術者の皆さんは、「プロトタイプ」をすぐに作ることを躊躇していませんか?

考える前に手を動かし、モノを作ることでしか見えてこない事柄もあるものです。

(客観性を重視する)頭の硬さは、技術者にとっての必須要素であるとも言えますが、

開発では、行動様式、思考様式を変えて、アタマを柔らかくすることも時には必要です。




2015年3月6日金曜日

コンサルティングと手法

コンサルティングを行う際には、何らかの確立された手法を活用することが多いと思います。

当然のことながら、コンサルタントは利用する手法について熟知していることが必要です。

しかしながら、あまりにもそのことを前面に押し出して依頼者と接触すると

一つの問題を生じさせてしまうものです。

それは、

小手先感

ではないでしょうか?

つまり、使い方はよくわかっているので、その点については信用できるのだけど、

「この人(コンサルタント)は、われわれの事業にどこまで入り込んで検討してくれているのだろうか?」

という疑念を生じさせてしまうのです。


このブログでたびたび取り上げているデザイン思考も、

近年では各種セミナーが実施されるようになり、新規ビジネスを起こそうとする方たちには

注目される手法になってきたと感じます。

ですが、デザイン思考における手法は、いざ実際に使おうとすると、

一般の方たちにはまだまだ複雑に感じるもののようです。

複雑に感じたり、小手先感を感じたりするのは、じつは

手を動かしていない

ことが理由です。

デザイン思考では、言うよりも、まず行動することが大切であり、

考えて話そうとするから、複雑性や小手先感に惑わされるのです。


デザイン思考を使う場合には、コンサルティングと呼ぶのは、少々問題だと私は思っています。

それはコンサルティングでは依頼者がレポートのようなもの、すなわち検討が完了して、

確証のある結果を求めていることがほとんどですが、

デザイン思考では一緒に悩んで漸進していくことが、その仕事内容となるものであり、

コンサルティングにおいて依頼者が期待している形態で結果をだすことはないからです。

むしろ、依頼者にも問題を突きつける、という作業が仕事となるので、

コンサルティングを標榜して仕事の受注を行うことには無理があると思います。