技術者の通常の行動様式は、問題解決型であるといえるでしょう。
この行動様式は、分析や論理を基本としています。
つまり、帰納的な方法論や演繹的な方法論を使って、
より確実な、信頼性のある結果を得ることを特徴としています。
たとえば帰納的な方法において技術者は、
Aという現象が見られた場合に、
「BならばAが生じる」
という規則におけるBを見出すことを行います。
そのため、「BならばAが生じる」という論理的な枠組みの中で活動を行うことになるのです。
このような行動様式をとる場合、自ずと既存の枠組みの中での活動に集中するため、
部分最適化的な結果となりやすい傾向があります。
問題・現象が所与であり、自ら作り出すものではないことが大きく影響しているからです。
これに対してビジネス開発では、問題の定義の仕方も事象の捉え方も様々です。
問題については自ら定義することも可能なのです。
そのため、問題解決の際に有効であるはずのアルゴリズムのみでは、事に対処できないのです。
物事の捉え方や、行動の起こし方に関しては、発想が重要となるのです。
行動様式としては、デザイン型のものが要求されるのです。
技術者がビジネスに関わる際には、デザイナーのとる行動様式を身につける必要があるのです。
直観にたよる部分が増えるわけです。
恣意的な仮説を数多く作り出す必要があります。
このような行動様式をとる場合、多くの技術者は、行っていることに憤慨したり、
自己嫌悪に陥ったり、みずから責任を放棄する行動をとってしまいがちです。
しかし、問題解決型とデザイン型とを対比することで、
技術者は行動様式を自らポジショニングすることが可能になり、
ビジネスの創出に適切に対応することができるようになるものです。
企業のCTOや、事業責任者の方々は、人材開発において、このようなことを意識して
技術者の教育、啓蒙を行っていくことが今後は重要となっていくでしょう。
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