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2013年1月31日木曜日

俯瞰を阻害するもの

前回は、イノベーションの第一歩として俯瞰することを指摘しました

では、俯瞰を行う際に、なにが邪魔となるのでしょうか?



より一般化した表現を用いると、

フレームワーク

ということになると思います。

人はそれぞれ、経験や知識に基づいて、

さらに、利害関係に影響されて、

自らのフレームワーク、すなわちモノの見方を習得しています。



そしてこの、モノの見方というのは、多くの場合、

各人のプライドや存在意義とも結びついています。



たとえば技術者は、一般的に客観的、分析的に物事を捉えようとします。

これは、要素還元主義的なフレームワークといえると思います。



客観的、分析的であることは、一般には好ましい態度であると考えられますが、

イノベーションを起こす際には、むしろ主観的なものの見方というものも、

有効であることは、技術者に知ってもらいたいものです。

とくに、B to Cのビジネスや、顧客へのサービス提供を検討する際には、

自分の専門分野で培ってきたフレームワークは、いったんは置き去ることが必要です。


なお、フレームワークによってモノの見方を固定しないのは、

あくまでも、俯瞰する時の態度です。


分野の異なる人のモノの見方を整理する際には、

自らフレームワークを意識して、

このフレームワークを操作することで、

俯瞰する作業が行いやすくなります。

要は、フレームワークに左右されるのではなく

(複数の)フレームワークを操作して

モノを観察しようということなのです。





2013年1月30日水曜日

イノベーションの第一歩

皆さんは、イノベーションは何から始まるとお考えでしょうか?


日本では、かねてより技術立国だとか、知財立国だとか言われ、


技術偏重の傾向が一部にはありますが、


私は


「俯瞰すること」


がイノベーションの開始には非常に重要だと考えています。


俯瞰することは、すなわち、細部はさておき大局的に物事を見つめることでもあります。


別の言い方をすると、


「脱専門性」


でもあります。


技術立国、知財立国という考えが浮かんだ方は、


自然と技術や知財を真っ先に考えるのですが、


技術や知財を、社会やビジネスのシモベとすることができないと、


結局は、特定業界や特定専門家たちの我田引水的な成果しか望めないと思います。






2013年1月11日金曜日

デザイン思考を始めるために必要なこと

IDEO社が規定するイノベーションの構成要素には、次のものがあるとされています。

(1)技術的な実行可能性(Technical Feasibility)

(2)ビジネスとしての実現可能性(Business Viability)

(3)人間としての望ましさ(Human Desirability)

参考


(1)や(2)については、技術的観点、経営的観点からビジネス分析を行う際には、

当然検討する事柄であろうと思います。

(3)についてはどうでしょうか?


デザイン思考(Design Thinking)では、この(3)の視点を重要視していることを特徴としています。

(1)~(3)の構成要素は、積み上がってできるものではなく、

互いにオーバーラップして、その中心にイノベーションが存在すると、IDEOでは捉えています。


そしてイノベーションの実現のため、デザイン思考では、

(A)着想(Inspiration)

(B)概念形成(Ideation)

(C)実装(Implementation)

という3つの行動をとるのですが、
4つに分類する方法等もありますが、ここでは便宜上3つに分類します)

具体性のある(C)と比較すると、(A)や(B)は、より抽象的であり、漠然とした内容であるため、

これらをどのように行うのかは、技術者や経営者には分かりにくいものとなっています。


ポイントは、

独立性と多様性のある人から、
(これは、ユーザーであったり、顧客やクライント等が該当します)

彼(女)らの感性や知識をうまく引き出すということ

にあります。


専門性の高い技術者は、このような行動を行うのを苦手としている人が多いようです。



そのような方たちへのサポートとしては、

(a)思考様式を、左脳(論理重視)型から右脳(感性重視)型へと転換する

(b)直観を軽視しない

(c)漸進的に物事を進める

ことを理解してもらうことから、始めるのが非常に有効です。