2015年2月に流れてきた情報の中で個人的に最も目を引いたトピックです。
こちらの記事(What Makes a Patent Valuable-A Patent Broker's Perspective by Louis Carbonneau, CEO)からの情報ですが、抜粋してみます。
最近、2、3年の間、一特許当たり価値は幾分低下したが(Nortel社特許の売買によるバブルのため)、特許取引市場自体は確固たる基盤として存在している。
価値判断には様々な考え方があり、時代とともに変化するものであるが、特許ポートフォリオを構築しようとしている、特許の買い手との取引から見えてくる条件がある。
それは、「権利侵害を避けるために、その権利を買う必要があるか否かによって購入するかどうかが決まる」ということだ。
また、「いわゆるパテント・トロール(NPE)に買われてしまうおそれがあるから」という理由もある。
価値ある特許(クレーム)の書き方の具体的な要素、注意すべき点としては次のことが挙げられる:
(1)守りではなく攻めのための書き方をすること、更に具体的には今後15年間ぐらいの間に競合者が実施したいか、避けようとするような内容にすること、逆にいうと、発明した内容を丁寧にまとめ上げるようなやり方は、時間の無駄であるということ、
(2)特許ファミリーを構築すること、具体的には侵害訴訟で勝ち得る金額が大きい米国の特許を重要視すること、更に具体的にはCIP等の継続性出願を積極的に活用すること、即ち出願が許可されたからといって喜ぶのではなく、継続性出願を行えるかどうかの検討を行うこと、
(3)範囲の広いクレームは不利である、すなわち具体的な製品や製法などに特化した内容とすること(広いクレームは無効化のリスクが大きい)、ただし、狭いクレームといっても特許性に重要となる要素による限定にすること、
(4)先行技術調査をしっかりと行うこと、すなわち出願にコストがかかるからといって、拒絶や無効化される可能性を排除するための調査にかかるコストを削減しないこと、
(5)実施化の努力は怠らないこと、アイデアだけでもうけようとする姿勢は価値評価の際にマイナスとなるということ、
(6)侵害の立証がしやすい内容とすること。
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この内容を読んでどのような感想をお持ちでしょうか?
「こんなことぐらい、俺は前から知ってるよ」ですって?
世間では、それを「後出しジャンケン」と呼んでいます。
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2015年2月27日金曜日
2015年2月26日木曜日
技術者がビジネス開発で注意すべき点
ビジネス開発においては主観を的確に取り扱うPhaseが存在することを前回の投稿で指摘しました。
今回は、主観が的確に取り扱われていることを判断するには、どのような確認行動が必要かについてまとめたいと思います。
私が通常行っている方法は、大きく分けて
1.一つの主観に囚われない(即ち、多様な主観を引き出す)
2.引き出した主観(知識や経験)を構造化する(即ち整理する)
ということです。
このように表現してしまうと、行っていることはいずれも非常に当たり前すぎるので、これを読んでも関心されないと思います。
しかしながら、当たり前のことを愚直に実行するということは、ビジネス開発の方法論では非常に重要だと私は考えています。
なぜなら、方法論自体がシンプルで分かりやすいものの場合、新たなアイデアを生み出す行動に制約がかけられることなく、参加者が全力を注げる環境を作り出せるからです。
つまり方法論が複雑であると自ずとそちらに気を足られてしまい、次の段階で行う発想という行動に悪影響を与えてしまうからです。
技術者に特に注意が必要なのは、この段階では大まかに整理することで当面は十分であるということを理解することです。
技術者というのは、対象の物事をより深く理解しようとする性質を持っています。
そのため、物事の整理を始めると、必要以上に精力を注いでしまうという問題点があるものです。
このPhaseは、あくまでも発想を行う次の段階の準備段階と心得て、
「大まかに整理しておけば十分」
と考えるようにしたいものです。
ただし、やみくもに整理するだけでは不十分です。
引き出した(多様な)主観の対応関係、重要性、背景などを整理することで、
「ビジネス開発を行う意味」
を引き出せるような状態にすることが必要です。
このことが、次の段階の発想に好影響を与えるのです。
今回は、主観が的確に取り扱われていることを判断するには、どのような確認行動が必要かについてまとめたいと思います。
私が通常行っている方法は、大きく分けて
1.一つの主観に囚われない(即ち、多様な主観を引き出す)
2.引き出した主観(知識や経験)を構造化する(即ち整理する)
ということです。
このように表現してしまうと、行っていることはいずれも非常に当たり前すぎるので、これを読んでも関心されないと思います。
しかしながら、当たり前のことを愚直に実行するということは、ビジネス開発の方法論では非常に重要だと私は考えています。
なぜなら、方法論自体がシンプルで分かりやすいものの場合、新たなアイデアを生み出す行動に制約がかけられることなく、参加者が全力を注げる環境を作り出せるからです。
つまり方法論が複雑であると自ずとそちらに気を足られてしまい、次の段階で行う発想という行動に悪影響を与えてしまうからです。
技術者に特に注意が必要なのは、この段階では大まかに整理することで当面は十分であるということを理解することです。
技術者というのは、対象の物事をより深く理解しようとする性質を持っています。
そのため、物事の整理を始めると、必要以上に精力を注いでしまうという問題点があるものです。
このPhaseは、あくまでも発想を行う次の段階の準備段階と心得て、
「大まかに整理しておけば十分」
と考えるようにしたいものです。
ただし、やみくもに整理するだけでは不十分です。
引き出した(多様な)主観の対応関係、重要性、背景などを整理することで、
「ビジネス開発を行う意味」
を引き出せるような状態にすることが必要です。
このことが、次の段階の発想に好影響を与えるのです。
2015年2月25日水曜日
技術者がハマる、ビジネス開発における3つの落とし穴
1.リニア志向
「良い技術を開発すれば、必ずよい製品ができる」と信じている技術者はいまだに多いようです。
しかしながら今から30年も前に、
「イノベーションはリニアなプロセスではない」
ということが分かっています。
2.NIH症候群
NIHとは、米国の研究機関の事ではありません。
Not Invented Here
の略であり、外部リソースを利用することを嫌う企業文化のようなものです。
自己リソースにこだわりを持つため、ユーザーに好適なソリューションの構築を阻害するものといえます。
3.要素還元(論理実証)主義
客観的であることはすべてにおける善であると技術者は考えがちです。
ビジネスにおいては、ユーザーの主観を的確にとらえることも非常に重要です。
主観と客観、どちらがよいのかという問題ではなく、
主観を的確にとらえるPhaseがビジネスには存在するということなのです。
ビジネス開発Processにおいて客観性が大切なPhaseも勿論あります。
要は、開発におけるどのPhaseにいるのか、そのPhaseではどのような行動・思考様式が望ましいのかという判断が必要なのです。
2015年2月23日月曜日
技術者の視点と市場の視点
産学連携の関係者には知られていることですが、
技術の事業化の方法としては、
「技術プッシュ」よりも「マーケットプル」のほうが事業化成功率が高いといわれています。
「技術プッシュ」とは、技術シーズを市場ニーズにマッチングさせる方法であり、
「マーケットプル」とは、市場ニーズにあった技術シーズを引っ張ってくる方法です。
この知見は何ら目新しいものではなく、
古くは、あの発明王エジソンが言っていたこととも共通点を有するものです。
"I find out what the world needs.
Then I go ahead and try to invent it."
また、現代のマーケティング専門家であるセオドア・レビットも同様のことを述べています。
"People don't want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole!"
(消費者が欲しいのはドリルではなくて、穴だ!)
技術シーズをドリルに、マーケットニーズを穴にたとえているわけです。
これらの発言は、いずれも技術者にとって「理解」できるものですが、
だからこそ、逆に技術者の「行動」様式を変化させるのには弱いものではないでしょうか。
理解と行動との関係をつなぐには、ヒラメキが非常に重要です。
論理的な判断や行動を起こすことに価値を見出す技術者も、
もちろんヒラメキを利用していることに疑いはないはずです。
しかし、このヒラメキを利用するということに関しては、
あまり多くのことが語られていないのも事実です。
技術の事業化の方法としては、
「技術プッシュ」よりも「マーケットプル」のほうが事業化成功率が高いといわれています。
「技術プッシュ」とは、技術シーズを市場ニーズにマッチングさせる方法であり、
「マーケットプル」とは、市場ニーズにあった技術シーズを引っ張ってくる方法です。
この知見は何ら目新しいものではなく、
古くは、あの発明王エジソンが言っていたこととも共通点を有するものです。
"I find out what the world needs.
Then I go ahead and try to invent it."
また、現代のマーケティング専門家であるセオドア・レビットも同様のことを述べています。
"People don't want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole!"
(消費者が欲しいのはドリルではなくて、穴だ!)
技術シーズをドリルに、マーケットニーズを穴にたとえているわけです。
これらの発言は、いずれも技術者にとって「理解」できるものですが、
だからこそ、逆に技術者の「行動」様式を変化させるのには弱いものではないでしょうか。
理解と行動との関係をつなぐには、ヒラメキが非常に重要です。
論理的な判断や行動を起こすことに価値を見出す技術者も、
もちろんヒラメキを利用していることに疑いはないはずです。
しかし、このヒラメキを利用するということに関しては、
あまり多くのことが語られていないのも事実です。
ラベル:
シーズ、ニーズ、マッチング、産学連携
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