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2011年7月21日木曜日

モデリング

先日、「モデル」というタイトルで

技術の活用における不確実性や、

マーケットへの対応への不透明性という観点から、

議論のためのモデルという概念について書きました。


本日はもう少し具体的に。

世の中、多くの人は専門性があることを良しとする風潮があります。

しかし、これを客観的に見た場合に、

相手に丸投げできるかどうか?

という視点で人間を見ているに過ぎないと私は考えます。


ビジネスを作り上げるという点においては、はたして専門家と言える

人間はいるのでしょうか?

右肩上がりの経済では、他に追随していくだけで、

売上を伸ばすことは難しくはなかったかもしれません。

ですが、新規のビジネスの根底には起業家精神が必要なはずです。

ビジネスの活動をモデリングするということは、

専門家に任せるのではなく、自ら築き上げていく際に、

思考の助けになるのみならず、

他の者との協働に影響を与えるものなのです。


他の者との協働において問題となるのが、

「視点の違い」

です。

例えば、

「電子回路作成技術」

と聞くと、大抵は、

「電子回路を作成する技術」

と捉えるはずです。

これは、以前、デジタルとアナログのInputとOutput(2)において

動詞+目的語

で意味空間として物事を把握するとよい、ということに対応しています。

確かにその通りなのですが、

・基板に素子を接続すること

と捉えることも、

・基板上の回路に新たな電気特性を付与すること

と捉えることも可能なのです。

このように、一つの物事をもってしても、その捉え方は唯一ではなく、

とうぜん、物事の初期段階の捉え方の違いが、

その後の活動を大きく左右することはご理解いただけるでしょう。

だからこそ、捉えた対象物を、

特定の技術分野の知識を駆使して表現するのではなく、

システムとしてのビジネスをモデリングにより表現し、

これを関係者間で共有することが必要なのです。


上記で構造的な捉え方をする場合には、

当然、物を生産すること中心に据えており、

その機能については、

付随的、外部から提供されるべきものと捉えていることが多いでしょう。

一方、機能的な捉え方をする場合には、

物を実際に生産する行為自体よりも、バリューチェーンの中での

自社の特徴を把握しようとしているともいえます。



表現の違いに、その表現した者の把握の背景が現れていて、


その背景が、他の者の把握の仕方に影響するのです。



特許実務におけるクレームの解釈についての知識は、

審査や訴訟においては必須のものでしょうが、

その知識は、技術をビジネスにつなげていく際には、

障害となりえるものだと思います。



知財人が

発明の創出⇒発明の保護⇒発明の活用

といった流れで、発明や特許という概念を中心に据えていることは、

物事の捉え方に硬直性を与えてしまう原因の一つ

であることが多いようです。



近年、知財コンサルティングを標榜する特許事務所が増えている感が

ありますが、果して、彼らのモデリング能力はどれほどのものでしょうか?

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